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春季大会に向けて【あるメールマガジンからの転用】

2015.05.15

『不思議な勝ちなし』

 

 

●緑園(みどりえん)と藤江町(ふじえちょう)の決勝戦になった。

大垣市民ソフトボール大会は、町内単位の勝ち抜きトーナメントで、

小学校高学年と中学生の混合チームを作る。女子も2名以上入れなけれ

ばならない決まりがある。藤江町に住む中学三年生だった私は、決勝

を前にしてメンバーに聞いた。

 

「どう?勝てると思う」

 

みんな首を横に振った。

「勝てないよ」「勝てるわけがない、緑園だよ」「よくここまでこれ

たよ」

 

●キャプテンの私も勝てないと思っていた。なにしろ緑園には野球部

主将の石井君や、エースで4番の小森君がいる。女子の金子さんにいた

っては男子勝りの巨漢スラッガーだし、塁に出たら易々盗塁してしま

う韋駄天・瀬古田君もいる。

 

●初回から波乱の幕開けだった。まずは一回の表の攻撃で相手投手が

四球を連発し、こちらは何もしていないのに押し出しだけで3点を先制

した。なおもツーアウト満塁。そこでラストバッターの貧打・棚橋君

がバッターボックスに入った。そこで攻撃は終わるものだと誰しも思

った。棚橋君がゆったり振ったバットに偶然ボールが当たり、外野フ

ライになった。浅めに守っていた外野手だが、余裕で追いつき捕球体

制に入った。しかし、ボールをバンザイしてしまった。結果的には満

塁ホームランになり、藤江町は初回から7点をもらった。

それでもメンバーは誰も勝てるとは思っていなかった。

 

1時間後、試合が終わった。結果は118で藤江町が勝ち、夢にも思

っていなかった初優勝を果たした。

緑園のメンバーは皆、ぼう然としていたが、それ以上にぼう然として

いたのが藤江町のメンバーだった。「あり得ない」という顔を両チー

ムの全員がしている不思議な閉会式だった。

 

「勝ちに不思議の勝ちあり」は野村克也元監督の言葉だが、本当に不

思議な勝ちであり、今でも鮮明に覚えている。

 

●それ以降、そんな「不思議の勝ち」は後にも先にもない。

 

今年 DeNA ベイスターズから移籍した金城選手(38)がジャイアンツ

で活躍している。「ジャイアンツの選手は全員がプロフェッショナル

だ。自分の役割を自覚していてその期待を裏切ることはない」と語っ

ている。井端選手(39)も片岡選手(32)も同じような発言をしてい

たはずだ。

 

●いつも勝つことが期待され、勝つのが当たり前だし、負けることは

許されないという常識意識がチーム内にが出来上がると、そのムード

がチームメンバーに影響を与えるようになる。

 

●サッカー日本代表の監督を引きうけたハリルホジッチ氏(以下、ハ

リル監督)は、かつて率いていたフランスのクラブチームでこんなエ

ピソードがあった。

あるアウェーの試合でそのクラブチームは負けた。帰りのバスで、一

人の選手が歌を口ずさんだ。するとハリル監督はバスを止め「全員、

外に出ろ」と怒り、説教をした。「絶対に負けを受け入れることはで

きない。負けたら病気になる。勝つのも負けるのも同じだという考え

の人とは付き合わない。勝てば勝つほど勝ちたい。それが私の哲学。

心の底から湧き上がってくるものだ」と語り、勝利への要求を口にし

た。それが組織の DNA になる。

 

●昨年のワールドカップでもハリル監督の主義は変わらなかった。ア

ルジェリア代表の監督として同国を決勝トーナメントに率いた。その

1回戦の相手が優勝したドイツだった。試合を前にして、「お前ら勝

てるんだろ?」と問いかけたら、選手は「冗談はやめてくれ。相手は

世界一だ」というような表情だった。しかし、「本当に勝てる」「勝

とう」とハリル監督が続けた。結果的には負けてしまったが(スポー

ツは)10試合やったら、1試合勝てるチャンスがあるかもしれない。

それを信じないと勝てない。そのために細部にこだわり、完璧に準備

するのがハリル監督の主義だという。

 

●あなたは、これから新たな目標に突き進もうとするとき、社員を前

にしてどんな決意を述べるか。

野球やサッカーの監督と同じように勝つこと(達成すること)を要求

し、期待せねばならない。そしてどうすれば勝てるかという勝ち方の

研究を試合前に入念に行わねばならない。

 

間違っても「不思議な勝ち」を期待するリーダーになってはならない。

 

経営者用メールマガジン『がんばれ社長!今日のポイント』より

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